【男性のきもの簡単解説】着用シーンに合わせた着物の素材選び

男の着物ってどんなものがあるの?


きものは基本的に形が変わらないので、シーンによって生地や柄を選びます。

基本的には、礼装(式典などに着用する正装着)、準礼装(お茶席などの少し改まった席〜カジュアル着)、カジュアル着(遊び着や日常着)の3シーンで覚えれば大丈夫です。

今回は着物の生地に着目してご紹介していきますので、ご参考になさってください。

ざっとまとめて下記のようなものがあります。

・羽二重(はぶたえ)の着物
・縮緬(ちりめん)の着物
・御召(おめし)の着物
・紬(つむぎ)の着物
・ウールの着物
・麻の着物
・綿の着物

羽二重(はぶたえ)の着物

光沢感があり、しっとりとした感触の着物生地になります。
代表的な例では婚礼などに着用する紋付の着物生地として使用されます。



縮緬(ちりめん)の着物

縮緬とは素材の一種ですが、絹を白生地の状態から染め、しぼ感があり、さらっとした着心地の着物になります。

◎カジュアル着〜お茶席など、幅広い用途で使用できるので大変重宝な着物です。


御召(おめし)の着物

こちらは先ほどの縮緬とは違い糸の状態から染めた後に織り上げた絹織物になります。
強く撚った糸を使用するので、生地にコシと光沢感があり、高級感のある着物になります。

こちらも縮緬同様、◎カジュアル着〜お茶席など、幅広い用途で使用できるので大変重宝な着物です。
特にお茶をされる方にお勧めの着物になります。

ちなみに、御召の由来は江戸幕府第11代将軍・徳川家斉が好んだところから「御召」と名付けられたそうです。


紬(つむぎ)の着物

こちらは生地に節(ふし)があったり、絣(かすり)と呼ばれる、部分的に染色された糸を織りあげる工程で組み合わせ柄を出す技法が見られ、先ほどご紹介した縮緬や御召の着物に比べるとカジュアルなものになります。
着心地の風合いが良く、着れば着るほどに愛着の沸く着物です。

紬を製作する際に大変な手間が掛かり高価なものもありますが、高い金額だからといって格が高いわけではありませんのでご注意ください。
あくまでカジュアル着になりますが、最高のお洒落を楽しむのに紬はぴったりな着物になります。

ご友人同士で飲みにいくなどのシチュエーションにはぴったりの着物です。
代表的なもので大島紬(おおしまつむぎ)のようなツルッとしたもの【写真では青いほう】や結城紬(ゆうきつむぎ)のようにふっくらとした風合いのもの【写真では茶色のほう】など、糸や織り方によって手触りに違いがあります。


ウールの着物

少し起毛しているのがウール素材の特徴です。
◎こちらもカジュアルな着物になりますので、遊び着にぴったりです。

上記でご紹介してきた絹の着物に比べて羊毛なのでリーズナブルなお値段なのが魅力です。
その割に上品に見えるところも嬉しいポイントです。


冬時期に着用する厚手のウールもありますが、サマーウールと呼ばれる素材もあり、真冬と真夏以外は長い期間着用できるので大変重宝な着物です。


麻の着物


麻は風を通し、汗をかいても肌に張り付かないので夏に重宝の生地になります。
代表的な麻の着物に小千谷縮(おぢやちぢみ)と呼ばれるものがあります。

麻の着物の良いところは、半襟と足袋を履いて合わせれば大寄せのお茶会ほどでしたら出席できるくらいの格があり、下着の上から直接着物を着用し素足になれば浴衣(ゆかた)感覚でお召頂ける用途の幅広さが魅力です。

夏時期に浴衣もいいけど、ひとつ大人の装いをしたい時などにぴったりの着物になります。


綿の着物


代表的なものに浴衣があり、柄が派手なものからシンプルなものまでたくさんあります。
最近、流行りのデニムも綿着物の一種になります。

また、ご自宅で洗濯できるのでお手入れが楽なところが綿着物の良いところです。


まとめ

礼装着・・・羽二重の着物

準礼装着〜カジュアル着・・・ちりめん、御召の着物

カジュアル着・・・紬、ウール、麻、綿の着物

今回は早足でのご紹介でしたが、大きくこのような感じでイメージしていただければ大丈夫です。
男性の着物の場合、女性と違い訪問着や付下、小紋などと細かく種類が分かれていないのでシンプルな分、着物の入り口としては入りやすいです。

お勧めとしては、お茶をされる方は御召を、カジュアル使いで考えていらっしゃる方は紬、ウール、綿などを選ばれると良いでしょう。


もっと人と違うお洒落を楽しみたい

ちなみにもっとお洒落を楽しみたいという方はオリジナルで着物を製作してもらう事も可能です。
下記でご紹介しますのは、当店のオリジナル着物として臈纈染(ろうけつぞめ)と呼ばれる技法でデザインして頂いたモノになります。



左胸の部分には瓢箪を。



後ろを振り返ると駒が転がっており、ことわざの「瓢箪から駒」をイメージしたデザインです。



また、右の袖には升と升を掛け「益々繁盛」と、扇子は末広がりに良いことが起こりますようにという意味が込められたデザインでお願いしました。



最後に衽(おくみ)と呼ばれる部分には唐草文様を描いてもらい、こちらも切れ目なく幸せが広がっていくようにと願いを込めた意味合いになっています。


このように、ご自身のアイディアで世界に一枚だけの着物を製作することも出来るので、お洒落の幅がとても広がります。

ぜひ、着物を楽しむ知識として参考にしていただければ幸いです。

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